作家名:
小堀鞆音
制作年:1890年
技 法:絹本着色
本図は、『平家物語』の屋島の合戦に題材を求めたものである。舳先に立てられた平家の扇を、源義経配下の武者、那須与一が射落すところを描いている。意匠化された雲、松や波などに土佐派が受け継いできた表現が表れている。同時に、手前の武者から、扇のある海上の軍舟、遠方の山までの遠近感が強調され、人物は写実的に描かれ色彩も鮮やかである。大和絵の伝統を背景として、有職故実の研究と写実化を交えて生まれた、近代の歴史画といえる。(「近代日本画への道程 「日本画」の19世紀」図録 1997年)