■皆様へ
平成22(2010)年1月19日、徳島発のアーティストの発見と支援を目的として「フリースペース チャレンジとくしま芸術祭」が始まりました。徳島県出身または在住であれば、経験、年齢、国籍などは不問。展示部門とパフォーマンス部門があり、いずれも事前審査はなく、定員オーバーなら抽選です。ただし初回は定員をこえる応募者が集まらず、現在は2週間開催している展示部門も1週間だけで、受賞者発表会もありませんでした。
やがて、次第に定員をこえるようになり、第3回では近代美術館と二十一世紀館との共催となって、3月の受賞者発表会も始まります。第6回からは展示部門の会期を2週間に延長、第10回からは、阿南などでの巡回展も始めました。そして、コロナ禍でも継続し、今回で15回を迎えます。
プロ・アマを問わず、展示や上演(パフォーマンス)できるものなら何でもOKなので、ジャンルも参加者のスキルや作品のレベルも様々です。そのまとまりのなさに批判的なご意見もある一方で、ジャンルの枠にとらわれず、自由にチャレンジできる多様性を評価するご意見もいただいてきました。
ここからプロへの足がかりや、再出発のきっかけをつかんだ人、夢を追って上京した人もいます。初心者のフレッシュな挑戦や、自分の殻を破ろうとする意欲的な挑戦など、熱い思いが伝わる芸術祭として、一定の役割を果たしてきたと考えています。
しかし、その一方で、これからはコンクールだけではなく、アートに興味がある徳島の人たちの多様なニーズに対応した新たな発想の取り組みが求められるのでないか。そんな思いから、「チャレンジとくしま芸術祭」は、今回の「フリースペース チャレンジとくしま芸術祭2024 ザ・ファイナル」をもって終了とします。そして令和6年度から、未来に向けた新企画へと生まれ変わります。
これまで参加し、応援して下さった皆さま、15年間どうもありがとうございました。
令和5(2023)年12月1日
徳島県立近代美術館 課長[学芸交流担当] 友井伸一