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おわりに
 「謎」を愛した男、デ・キリコは当然の事ながら自らの作品の絵解きはしていません。それ故、研究者たちは様々な視点から、彼の作品を解釈しようとしたのです。しかし、解のわからない謎解きは、彼の仕掛けた罠にはまっているようにも思えます。むしろ「謎」をありのまま受けとめ、彼の作品世界に浸ってもよいのではないでしようか。
 なお、この展覧会で出品される全115点の油彩画、素描、彫刻作品は、デ・キリコの良き理解者であり、助言者でもあったイザベラ夫人のコレクションを管理するジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団の全面協力によるものです。中には、多数の日本未公開作品も含まれています。
 さながら白昼夢のようなデ・キリコの作品世界をお楽しみ下さい。

(主任学芸員 吉川神津夫)


*この文章は以下の文献を参考にしました。

「ジョルジョ・デ・キリコの形而上絵画」井関正昭、
「作品解説」『巨匠デ・キリコ展 東洋の理想』図録2005年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団、
NHKプロモーション、ツルモトルーム
「主題と造形の偉大な結合」峯村敏明、
「謎と静寂、または『大いなる正午』―デ・キリコとベックリン、ニーチェ―」千足伸行
『デ・キリコ展』図録1989年 アート・ライフ
「ジョルジョ・デ・キリコ―存在と不在の間の"旅路"―」マリーア・ヴェスコヴァ
『デ・キリコ展1920-1950』図録1993年 デ・キリコ展1920-1950実行委員会
『キリコ回想録』笹本孝、佐々木董訳 1980年 立風書房
 
 

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