「おもろいやつら」とは
展覧会のタイトルに用いている「おもろい」と言う言葉は、関西地方で用いられている、独特のニュアンスを持った言葉です。単純に「面白い」と言うことではなく、もっと幅広い感覚を含んでいるものです。また、この言葉は用いる側の見方、感じ方を表すもので、ポジティブな意識を持った言葉でもあるのです。今回の出品作品に関しても、この言葉を元に全作品に共通する何かを求めるものではありません。個々の作品に何か「おもろい」要素を見つけだそうとするものなのです。また、「やつら」と言う部分では、「人間像」の作品と共にそれらを生み出した作家たちのことも意識しているのです。
【右図版】 中西學 〈ROCKIN' RIDER'87-SIDE BY SIDE-〉 1987年
作家が登場する写真
今回の出品作品には、作家自らが登場する作品が数多く見られます。しかし、作家自身と見る者にわかるのは、<フォードと郭(A)>のように、タイトルにアメリカ大統領の名前と自らの名前が入っている郭徳俊の作品くらいです。
さらに、この郭の作品も含めて、作家自身が登場する写真を用いた作品が目に付きます。今回の出品作では石原友明、植松奎二、大島成己、森村泰昌の作品などがそうです。こうした写真作品の例は他にもあるものの、当館所蔵以外でも榎忠や今井祝雄、あるいは小谷泰子などの作品のことを考える時、作家自身が登場する写真作品は、「関西の人間像」の一つの特徴と言えるのではないかと思います。
【左図版】 郭徳俊 〈フォードと郭(A)〉 1975年
【右図版】 森村泰昌 〈肖像(少年1)〉 1988年