徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
着衣のポモナ
1921年
ブロンズ
181.0×61.0×48.0
1921年
ブロンズ
181.0×61.0×48.0
アリスティード・マイヨール (1861-1944)
生地:フランス
生地:フランス
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マイヨール着衣のポモナ
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所蔵作品選1995
アリスティード・マイヨール 「着衣のポモナ」
安達一樹
美術館に展示されている作品は、大きく分けると平面作品と立体作品の二種類に分けられます。平面作品は、油絵や日本画、版画、写真などで、立体作品はおもに彫刻です。私たちは、小さいころからお絵かきをしたり、年賀状にイモ判を押したりするなど、自分で作品を作ってきました。また、雑誌や新聞、画集などで世界の名画を見ています。このように、平面作品には日ごろから比較的よく出合っているといっていいでしょう。
では、立体作品となるとどうでしょうか。粘土細工をしたことがあるくらいで、なじみがないと思われる方が多いのではないでしょうか?確かに自分で作品を作ったことのある方は少ないと思います。
しかし、注意してみれば、身近にも結構あるものです。美術の教科書にある「ミロのビーナス」やロダンの「考える人」などのような作品はないかもしれませんが、たとえばお寺にある仏像、神社のこま犬、街角のお地蔵さんなど、また広場や公園などにある郷土の偉人の立像や胸像、駅や空港には大きなモニュメントがあったりします。
このように身近にありながら、立体作品に私たちが気づいていないということは、仏像やこま犬などは知っていても、それらを立体作品として見ていないということでしょう。立体作品が発している言葉を私たちが受け取れていないために見過ごしてしまっているということでもあるのです。
ただ一口に言葉といっても、この言葉は作品によって千差万別であって、それが理解できるようになるためにはたくさんの作品を見て多くの経験を積まなければなりません。これは見る人が作品とじかに接していかなければならないもので、いくら解説を読んだり説明を聞いたりしても身につきません。作品をたくさん見ることは立体作品の理解への入り口ですが、漫然と見てもなかなか進歩しません。最初におさえておくポイントがいくつかあります。
ポイントは、簡単にいうと材料(技法)、構成、表現の三つがあげられます。美術館の常設展ロビーにあるアリスティード・マイヨールの「着衣のポモナ」であれば、材料はブロンズ、構成は、要素として点、面、量、空間などいろいろありますが、その中でも特に量、表現では古典的な人体像ということになります。
徳島新聞 県立近代美術館 10
1990年12月12日
徳島県立近代美術館 安達一樹
1990年12月12日
徳島県立近代美術館 安達一樹