[コラム] 収蔵庫について

 今回は、前回に引き続いて収蔵庫についてお話しいたします。美術館には、現在作品を収蔵する部屋が3室あります。収蔵庫1は、主に油彩画・日本画・水彩画・素描などの平面作品と版画を収蔵し、広さは前室を含めますと427平方メートルとなります。収蔵庫2は、主に彫刻などの立体作品と版画を収蔵し、広さは前室を含めますと198平方メートルとなります。前室では、作品の梱包作業などを行っています。一時保管庫は、特別展に展示するために他の美術館や個人コレクターなどからお借りしてきた作品や、寄贈された資料の整理など、展示や収蔵庫に収蔵するに当たっての一時的な保管場所として使用されています。

 1970年代頃までの美術館の収蔵庫は、温度や湿度の安定を図ったり、災害に備える事を考慮したりして地下に設置することが多い傾向にありましたが、近年建築物の構造や空調システムが著しく改善されたこと、手狭になった時に拡張しやすいという利点などから、収蔵庫を地上に設置する美術館が増えてきています。当館も手狭になったときの拡張などを考慮して収蔵庫1と収蔵庫2は最上階の4階に、作業の効率などを考えて一時保管庫は1階に設置しています。

 これらの収蔵庫は、かびの発生や絵具の脱落を防止するなど作品を保護するために、年間を通じて温度が20℃に、湿度が50%に設定されています。そのため、収蔵庫で作品の点検や整理など長時問の作業を行う時には、冬は厚着をしているのでそう苦にはなりませんが、夏はジャンパーなどを着ていかないと底冷えし、寒くて居られない状態となります。ちなみに展示室では、湿度は収蔵庫と同じで50%に設定されていますが、温度は作品が急激な温度変化により劣化をおこしやすいため(作品保護のためには収蔵庫と同じの20℃が良いのですが)、夏が26℃に冬が22℃に設定されています。近年はクールビズということで事務室などでは夏の室温を、28℃に設定しているため展示室では少し寒く感じますが、展示と作品保護という折り合いの中で、夏が26℃、冬が22℃という設定となっております。


徳島県立近代美術館ニュース No.56 Jan 2006
2005年12月
徳島県立近代美術館 仲田耕三