[パワーをもらう美術館] 教育普及担当からのレポート 2006

 平成18年度もあわただしく多くの企画、多くの皆さんとの出会いがありました。学芸員の講座やトークだけでなく、いろんな方面から講師さんに来て頂くことで、この美術館に行き交う声、人の輪が広がっていったらいいなと願います。春の日本画の魅力展では長尾弘子さんにギャラリートークをお願いし大好評でした。こどもの日クイズラリーに合わせて岡英彦さんには日本画体験コーナーを丸一日ご指導頂きました。コレクターの江川淑夫さんによる三宅克己をめぐるレクチャーは新しい試みです。

 巴里憧憬展、ピカソの版画展では、昨年度に引き続きサロン・コンサートが新鮮な鑑賞の一時を演出してくれました。井村雅音さんはバソンによる新作を初演、熱かったです。そして凍熱ーハンス・ペーター・クーン展のオープニングでは和田淳子さんのパフォマンスに大勢の方が集って下さいました。

 所蔵作品展の展示解説が少しずつ盛況となってきているのもうれしいことです。ご存知ですか、当館の所蔵展は「常設」ではありません! 美術館活動の柱となるコレクションを四季折々テーマを工夫して展示しています。ぜひ多くの方に聞きに来て頂けたらと思います。

 さて秋の吹田文明展では鬼のように連続ワークショップです。地元で版画の輪を広げて活動している「徳島版画」と連携しての企画です。平木美鶴さんの「吹田版画を体験しよう」を皮切りに個性的な講座が展開しました。講師の皆さんの「版画が好きだ」というムードが1ヶ月にわたってアトリエに充満した日々でした。吹田文明さんにも日和佐小学校へ56年振りの出前授業をお願いし、実に素敵な授業さすがでした。教え子の方も講演を聞きに来て下さいました。また吹田さんには富田小学校1年生との交流も楽しんでもらいました。1年生たちは春からの版遊びの学習成果を「きらきら☆どっきどきドン」展で披露してくれました。(当館ホームページで紹介しています)

 こども鑑賞クラブも子どもたちの生き生きとお家の方の見守りに助けられてなんとか3年を経過。うれしいことに初めて新聞社や出版社の方が記事にして下さいました。また新しい友だちたちの輪が増えていったらいいなと思います。当初から一緒に企画を練り上げた文化推進員の二人も卒業していきました。新しいスタートです。


徳島県立近代美術館ニュース No.61 Apr.2007
2007年3月
徳島県立近代美術館 竹内利夫