チャレンジとくしま芸術祭2020|受賞者発表会

審査員講評

2021年1月31日(日曜日)15:00より、フリースペースチャレンジとくしま芸術祭2021表彰式を行いました。
※今年度の表彰式は非公開で行われました。

審査員

展示部門

※下記の各審査員名をクリックまたはタップすると、
講評をご覧いただけます。

桑村光明



桑村光明

徳島県立近代美術館館長 ※展示部門審査員長

それでは展示部門の講評を申し上げます。
グランプリ
早渕太亮さん
表現力・技術力、さらにチャレンジという意味でも出品者の中では抜きんでていた。多様な挑戦をしているという部分が評価できる。この作品では、空間の光のあり方が、ヤコブの階段のエピソードを思い出させる点が強みになっている。

準グランプリ
消っしーほりえさん
継続して作品を発表し続けていながら、常に新しい表現に挑戦しているところを評価する。
その中に作者の個性が共通して強く感じられる。今回の作品では、表現が豊かになり、より表情豊かなものとなっている。

チャレンジ奨励賞
真夜中のアーティストさん
色に絞って勝負した点を評価する。インクでここまで強く表現している点が驚きであり、油彩や水彩にはないポップな表現が良い。また。豊かな色彩の中には、日々の暮らしの中で様々な心情が現れている。

新谷進さん
かつて栄えた港町小松島に対する思いの暖かさが感じられる点が良い。小松島の町の通り一つ一つを歩いた中から生まれた表現である。水彩での挑戦が見られ、抽象化されつつある自然物の表現が面白かった。

西園寺リルさん
映像も含め多様なメッセージが混沌に表現されているのが良い。整理されているようで、整理できないありのままの思考や、メッセージを吐き出したかのような表現は、伝わらないものを伝えようとするチャレンジのように受けとめた。また、作品からは、今の時代にはない、高度成長時代を思い出させるエネルギーが感じられた。

MIP（モースト・インプレッシブ・プレイヤー）賞
眉翠（びすい）
文字というミニマルな記号に込められた想いや表現方法がシンプルに良い作品である。さらに、その文字を組み合わせて使用するイメージの広がりに可能性を感じる。ずっと残したいものをこのような形で残していきたいという、ストレートな想いが伝わる点が凄く良いことである。

徳島県立近代美術館館長 ※展示部門審査員長
内藤隆



内藤隆

鳴門教育大学教授

受賞者の皆様、まずはおめでとうございます。
大賞をとられました早渕太亮さん。2年連続ということで、審査員の間で若干の躊躇はありましたが、評価がダントツ一位でやはり外せないということになり決まりました。壁面における額縁のバランス、光る雲とそこにかかる梯子、与えられた空間を「そこだけ全く違う空間」に変える力がありました。作品の背景に何かのエピソードが見え隠れすると、いよいよ作品を楽しめますよね。僕は旧約聖書の「ヤコブの階段」のエピソードを思い出し、楽しめました。

消っしーほりえさんもこの芸術祭ではご常連ですが、その作品の独特の風合いはやはり印象深くて、皆の心を捉える力があります。いままで和紙をベースに、消しゴム印鑑を効果的に活かした面白い作品を見せていただいていますが、今後も是非楽しみながら制作を発展させていただけたらと思います。

西園寺リルさんの作品からは1970年代の匂いを感じました。自分が子供時代に見たヒッピーやサイケといった自由で力強い文化の匂いです。作品からも強いエネルギーを感じますが、パフォーマンス部門にも参加されているとのことですね。是非今後もそのエネルギーを維持して、多様な活動で表現して行ってもらえると嬉しいです。

真夜中のArtistさんは、非常にシンプルに色彩だけで勝負されていて大変好感を持ちました。美術館は内部空間での作品展示を構想して作られた建築物なので、どうしても内部はある程度暗くなってしまうものですが、カラーインクの鮮やかないろどりを存分に引き出した作品は、展示スペースの中でもそこだけ明るく照らし出させているように感じさせてくれて、心地が良かったです。

新谷進さんの絵は、審査員の間でもとにかく「小松島愛が溢れている」と話題になりました。特に小松島の港を望む鳥瞰図からは、新谷さんが裏道一本一本をくまなく歩いて知り尽くしている様子が感じ取れました。奥様から本当に良い趣味を教わりましたね！水彩の持つ明るさと軽さも絵の雰囲気をより良いものにしていると思います。

眉翠さんの作品は大きさ的には小さいのですが、素材の特殊性（お祖母様が残された竹素材）と作ったものの面白さ（ひらがなフォント）が良かったです。あのフォントを使って絵手紙を書いたら面白いだろうなあと想像してしまいました。

受賞には至りませんでしたが、以下の方々の作品も自分は良かったと思います。
徳島文理高等学校美術部の作品は、段ボール素材にイラスト表現という技法については珍しいとは思いませんが、画面を広く使って人間の一生が描かれているところが大変面白かったです。

ALYSSAさんは昨年も面白い作品を出されていましたが、今年もスタイルを発展させて更に新しい作品として構成していましたね。自分は蝙蝠の棚が面白いと思いました。

武澤光太郎さんも常連さんですが、例年怪獣がメインでしたが今年はヒューマノイドになっていましたね。今後、このヒューマノイドを登場させた映像への展開を期待しています。

昨年からコロナの影響で、世界中で人々の活動が制約され、社会全体に大きな変化がありました。　そんな状況でも皆さんが着実に作品を制作され、この展示に挑んでいただけたことは、苦しい制約の中でも、人間の創造と表現の力が枯れることがないと証明して下さっていることの表れであると感じます。今年は皆さんに、このお祝いを文章という形でしか伝えることができませんが、今後もそのパワーを活かし続けていただけたらと思います。また来年もグレードアップした皆さんの作品をお待ちしています。

鳴門教育大学教授
佐原理



佐原理

徳島大学准教授

早渕太亮さん
技術力、表現力ともに高くグランプリにふさわしい作品だと思います。チャレンジという意味でもこの果敢に多様な挑戦をしている部分が評価できると思います。

消っしーほりえさん
継続して作品作りに挑戦し常に新しい表現にチャレンジしている点で高く評価しています。表現が豊かになりより表情豊かな作品に好感をもちました。

真夜中のArtistさん
インクでここまで強く表現ができるのに驚きました。油絵や水彩にはない鮮やかでポップな表現が良いと思います。その色彩にすごく豊かな心情が現れていると思いました。忙しいなかでも、より軽く、より豊かな表現にチャレンジしていってもらえると嬉しいです。

新谷進さん
溢れる表現への欲求に心を打たれました。水彩での挑戦で多様な工夫もみられ、抽象化されつつある自然物の表現が面白かったです。

西園寺リルさん
映像も含め多様なメッセージが混沌に表現されているのが良かったです。整理されているようで、整理できないありのままの思考や、メッセージを吐き出したかのような表現は、伝わらないものを伝えようとするチャレンジのように受け取りました。

眉翠さん
文字は永遠に残っていく、こじんの生の痕跡です。文字というミニマルな記号に込められた想いや表現方法はシンプルに良い作品だと思いました。海外では子どもの書き文字をフォントにして残していったりというビジネスもあります。ずっと残したいものをこういう形でのこして行くというのもすごく良いことだと思います。

徳島大学准教授
大和たきみ



大和たきみ

フリーアナウンサー

まずは受賞された皆様、おめでとうございます。
今年もたくさんの素晴らしい作品に巡り会い、楽しく審査をさせていただきました。
チャレンジ徳島芸術祭の審査をお引き受けして何年か経ちますが、多種多様な作品が参加するこのイベントの審査をさせて頂くことは、私にとっても〝チャレンジ〟で、毎回いろいろな発見があります。
　
私は審査をする時、最初に会場を一周します。審査のことを考えず、まずは「今年はどんな作品と出会えるのかな」とワクワクした気持ちで一周するのです。すると、不思議なものでそれぞれの作品から〝声〟が聞こえてくる気がするのです。私はその〝声〟を聞くのが楽しみで審査をしているような気さえします。そして、審査のために会場を何周をしていると、その〝声〟が一つになってハーモニーを奏でるのです。私にしか聞こえないであろう作品たちのハーモニー、それを聴くのが私の楽しみなのです。
　
ところが今年は、その〝声〟が聞けるまで少し時間がかかりました。最初から全く聞こえなかったわけではないのですが、耳をすまさないと聞こえないような小さな声だったり、変拍子の連続で聞き取りづらかったり、逆に一つだけ飛び出ているものや、叫んでいるような声もあった気がします。
　
こんなことは初めてで、今年の審査はこれまでで一番悩みました。でも、審査が終わった時、とてもすっきりした気持ちになりました。多分、他の審査員の先生方とお話をする中で、作品から聞こえてきた様々な〝声〟の理由がわかったからだと思います。

チャレンジ徳島芸術祭に出品される作品は様々です。けれど不思議なものでその年々の「作品色」のようなものがあります。今回は「コロナの影響」を作品に見た気がします。けれどそれは悪いことばかりではなく、コロナ禍でも自分らしく頑張っていこうという『強さ』や『優しさ』『穏やかな抵抗』を感じることができました。そして、例年と同じように、最終的には作品全体から〝ハーモニー〟を聴くことができました。少し細いけれど、きれいな声でした。
このように今年も皆さんの力作に出会えたことをとても嬉しく思っています。
ありがとうございました！

フリーアナウンサー
竹内利夫

竹内利夫

徳島県立近代美術館上席学芸員

受賞者のみなさん、おめでとうございました。私は今まで展示室でみなさんの展示作業を手伝う役目だったのですが、今回初めて審査員を務めることになりました。審査員になってみると、見方が変わってきました。

この芸術祭は抽選さえ通れば誰でも展示することができ、または上演することができる、となっています。ただ、それが言葉として軽すぎるんじゃないかと思います。例えば、家で一人で絵を描いていたり、音楽を奏でている人、たくさんいると思います。そういう人がこの芸術祭で作品を発表するとなると、そこに大きな飛躍があります。誰もが飛躍するわけではない中で、参加者の皆さんはこの芸術祭に応募した時点で大きなチャレンジをしていらっしゃいます。

しかし、難儀なのがこの空間ですよね。まず天井は高い、そして幅は5メートル以内という決まりがある。フリーだということですが、これはフリーというより、逆に参加者にとって物理的にというよりは精神的な制約になってしまっているのでは？と感じました。だから別に5メートルいっぱい使わなくても、小さな作品をもっと凝縮して見せるとか、逆にたった1つの作品をどう見せたら効果的か、とか、ちょっと工夫すればもっと良くなる、そういった作品が今回はとても多かったと感じています。

また、言葉が気になりました。自分の作品を伝えたいとなると、説明を出したくなる。それをどのように出すか、ということについてです。例えば作品の説明をするパネルを大きく出してしまうと、本当に見せたいはずの作品を際立たせることはできません。そういったことにもっと気をつければいいのに、と感じることがありました。受賞者の中でも、例えば早渕さんの作品は、中をのぞき込む指示書きが台の上にありましたが、それを壁に離して、赤いカーテンがスッと立っているだけの方が良かったように思うんです。

また、私も10年以上チャレンジ芸術祭を見てきましたが、その初期の頃によく見られた｢過剰系｣の作品があります。今回、狂気とまではいかなくても、過剰なほどの何かを感じられて、懐かしいなと感じたのが、i'm girl.さんです。

初めて出品された方、また受賞された方の中にも、やってみてここがうまくできなかったな、と感じることもあったと思います。それをステップにして、また来年もチャレンジして頂きたいと思います。

徳島県立近代美術館上席学芸員

≫展示部門作品

パフォーマンス部門

※下記の各審査員名をクリックまたはタップすると、
講評をご覧いただけます。

大塚二朗



大塚二朗

文化の森振興本センター長･徳島県立二十一世紀館長
※パフォーマンス部門審査員長

パフォーマンス部門の受賞理由について、私のほうからは総評的に申し述べさせていただけたらと思います。

まず、グランプリの「たけと愉快な仲間たち」さん。
本来のビッグバンドの迫力とは違って、少人数編成ならではの良さを味わうことができた。選曲や映像の利用も、コロナ禍の中でのステージとして効果を上げており、前向きな強い気持ちやメッセージが伝わってきた。以上が受賞理由です。

次に、準グランプリの「徳島市八万南小学校カラーガード部」さん。
狭い舞台にあわせて、振り付けやフォーメーションが良く工夫され、練習の成果を感じた。カラーガードが好きな子ども達の思いが伝わる、のびのびとした自信あふれるステージであった。この良さを失わず、今後も活動を続けてほしい。以上が受賞の理由です。

次に、チャレンジ奨励賞の「BOUND BOX」さん。
ダンスのスキル、見せ方、エンターテイメント性に優れ、観客を大いに楽しませてくれた。多くのジャンルの短いダンスが続く作品だけではなく、テーマやストーリー性を持った長い作品も見てみたい。以上が受賞の理由です。

つづいて、チャレンジ奨励賞の「yayo」さん。
昨年の準グランプリ受賞の後、コロナ禍となった一年間の作品作りの苦労が感じられた。歌詞のある曲に引きずられない表現を目指して、さらに努力の積み重ねを求めたい。以上が受賞の理由です。

最後にＭＩＰ賞の「ダンススタジオ矢田・宮本（八万フラサークル）」さん。
社交ダンスの少年の存在感が際立って印象に残り、そのダンスをもっと見たいと思わされた。今後のさらなる活躍を期待したい。以上の点が評価されました。

受賞されたのは5組だけですが、残念ながら賞からもれた方の中にもすばらしいパフォーマンスをされた方がたくさんいらっしゃいました。特に今回は、コロナ禍の中、チャレンジされた出演者の皆さまの意欲や努力は並大抵ではなかったかと思います。出演された全員の皆さまに、心より敬意を表します。そして、次回のチャレンジも大いに楽しみにしております。これでわたしの講評を終わります。ありがとうございました。

文化の森振興本部長･徳島県立二十一世紀館長
※パフォーマンス部門審査員長
丸山貴成



丸山貴成

ヒノマルプロジェクト代表

受賞された皆様、本当におめでとうございます。そして出場された皆様、関係者の方々、コロナ禍での準備や運営はご苦労があったと思いますが、素敵な舞台を開催していただき感謝いたします。

これまで「チャレンジとくしま」を観客として拝見してきましたが、この度はじめて審査員という立場で観させていただく運びとなり、あらためて「チャレンジとくしま」というステージは、表現が多岐にわたっていることに驚きと楽しさを感じる反面、審査をする難しさを思い知りました。

私はラジオ番組や漫画雑誌・アニメーション映像の制作、また25年以上演劇に携わってきましたが、今回はそれらの経験を踏まえて、「チャレンジ」「表現力」「伝えたいという気持ち」という観点で審査させていただきました。

ここでは受賞された皆様以外で、個人的に印象に残った方々の感想を一言ずつ書かせていただきます。

西園寺リルさん
最初は少し戸惑いましたが、次第に引き込まれていきました。一見、3人の演者が各々の表現をしているようで、実は空間と感情を共有していると感じました。音楽も良かったです。

あすなろさん
ノスタルジーを感じました。夕日をバックに昭和の街並みが見えてくるような雰囲気で、ハーモニカと歌のコラボレーションが良かったです。

A fairy tale さん
日々の練習の成果がうかがえました。初々しさの中に迫力もあり、あっという間でした。

とくしま南京玉すだれ会さん
観ていて元気をもらいました。剣山や阿波踊りなど、徳島ならではの演技もあり楽しかったです。

柱淳々さん
まくらから観ている人に笑ってもらおう、楽しんでもらおうという気持ちが伝わってきて、笑顔になれました。

クレールフィーユさん
年代ごとのダンスが目まぐるしく登場してきて、テンポも良く、年配の方から若年層の方まで楽しめるよう構成されていました。

すべて書ききれませんが、それぞれが個性的で魅力にあふれていました。今後ともぜひ続けていってほしいなと思います。ありがとうございました。

ヒノマルプロジェクト代表
森惠子



森惠子

公益財団法人阿波人形浄瑠璃振興会会長

チャレンジとくしま芸術祭２０２１パフォーマンス部門に参加された皆さん、お疲れさまでした。今年もワクワクしながら審査させていただきました。

受賞された皆様おめでとうございます。今年のようにコロナ禍の中で練習をしたり、パフォーマンスの組み立てを考えるのは大変だっただろうと思います。

受賞された方々はもちろん出場者それぞれが工夫をしていたのが感じられました。
あすなろさんのハーモニカに癒され、南京玉すだれの方々のマスクの素敵だったこと、次回は是非音頭も美声を聞かせてほしいと思いました。

また、フラダンスの方々の自信あふれる笑顔と、Ｃｈｉｋａ　Ｄａｎｃｅ．ｎｅｔのバチャータのお二人の笑顔も素敵でした。パフォーマンスに自信がある笑顔でしょうか。

ゆったりとした時間が流れたようなオールドソングスさん、去年とは違った表現のボルドさん、ｙａｙｏさん、おつ姫さん、と、とても楽しく拝見しました。
市高ダンス部の皆さん、練習とパフォーマンスの組み立て方に苦労されたと思います。

まだまだコロナ禍でのパフォーマンスは難しいものがあると思いますが、いろいろな工夫をしながら新たなチャレンジをお待ちしています。

公益財団法人阿波人形浄瑠璃振興会会長
カタタチサト



カタタチサト

ダンサー･演出家

受賞された皆さん、おめでとうございます。今回受賞を逃した方も、おつかれさまでした。このコロナ禍でこれだけの感染対策や工夫をされてのパフォーマンス上演・・・、演者、観客、それを支えてくれている主催、スタッフ各位、無事に上演できたことを祝したいと思います。

それだけ、今、見せたいものがある、今だから見せたいことがある。という想いが皆さんあったと思います。私自身も2020はパフォーマンス公演やワークショップも中止が相次ぎ、無観客公演や映像作品、クローズドでの開催を経て、感染対策をしての上演再開などありましたので、昨年もいいましたが「生きている人間の体が、生きている人間の前で、生きている時間をいただいて表現する。」ことの大切さ、感動を改めて実感しました。

受賞された方へは、総評の中に意見を織り込ませていただきましたので割愛します。
私感としては、やはり「自分にしかできない表現」を模索して挑戦されている方は存在感が強いな、と感じます。西園寺リルさんは「俺たちにできることは何があるだろう！」と叫びました。これからどうなるのだろう、と期待しましたが「俺たち」による見解がパフォーマンスの中で見えきらなかったのが残念でした。3人の関係を立体的にからませていくと良いかと思います。おつ姫。さん、昨年より明るい視点があって、希望を持ちました。ボルドーさんアイディアは良いと思うので、共有できる仲間を見つけ技術面もあげつつ作品創りに励んでください。

ダンスの方は、既存の曲でパフォーマンスする時に、歌を口ずさみながらおどっている方が多くいましたが、その曲は既に、誰かがパーフェクトに創ったものです。「その曲にノッておどっている」を超えて表現されてくるものが見えるにはどうすれば良いのか、なぜその曲を使うのかまで想いを馳せてほしいです。

最後にオールドソングスさん、やってらっしゃることは昨年と同じようで今年のチャレンジとしてどう捉えるか、と観ていましたが、「やすらかに心満ち　わたしは歌う」という歌詞に、ハッとさせられました。チャレンジというと、何か新しいこと、昨日より今日、と右肩あがりに考えてしまう面もありますが、何気ない日常を守り継続していく美しさや尊さもまたパフォーマンス部門で表現できる世界であるな、と。

ありがとうございました。

ダンサー･演出家
橋本真味



橋本真味

徳島新聞社事業局地域連携推進室

チャレンジとくしま芸術祭パフォーマンス部門の舞台に立たれた皆さま、すてきなステージをありがとうございました。例年とは異なる状況下での開催となり、当日を迎えるまでにさまざまなご苦労があったかと存じます。それらを乗り越えて披露されたパフォーマンスからは、エネルギーと希望を感じました。私自身、目の前でダンスや音楽演奏などを拝見するのは久しぶりで、観客の前で演じられるからこそ生じるパワーがあると再認識することができました。

　甚だ稚拙で簡単ではございますが、お一組ずつ感想をお伝えします。
　
「西園寺リル」さん、今の世の中に対する思いを多面的に表現された（と私は思いました）複合的で、他にはない魅力がありました。

「あすなろ」さん、聴く人の心を丸くするような懐かしく優しい音色でした。

「とくしま南京玉すだれ会」さん、徳島の魅力を詰め込んだオリジナルバージョンの演舞はお見事でした。お一人ずつの口上も、皆さんのチャレンジ精神にあふれていました。

徳島市立高校ダンス部の「A fairy tale」さんと「クレールフィーユ」さん、かわいさ、クールさ、大人っぽさといった個々の魅力が引き出されていたと思います。エネルギッシュで見ている私たちも元気になれるステージでした。

「ダンススタジオ矢田・宮本」さん、フラの美しい衣装と優しい動きに癒やされました。最後の社交ダンスはキレが良く目を奪われました。

「Chika Dance.net」さん、ジャンルの異なるダンスを通してそれぞれの文化が垣間見られる、楽しく興味深い構成でした。このダンスの輪が、地域でさらに広がりますように。

「BOUND BOX」さん、生き生きとした表情と高いダンス技術に惹きつけられました。年齢を問わず、お一人お一人がエンターテイナーだと感服しました。

「ボルドー」さん、ダンスと阿波踊りのコラボはとっても魅力的な挑戦でした！衣装もすてきで、もう少し長く見たいと思いました。

「オールドソングス」さん、優しい声とギターの音色からかもし出される雰囲気は哀愁たっぷり。演奏中は独自の世界が広がっていました。

「浜健次・はまかしこ」さん、キャラクターと登場人物のユニークさが際立っていました。

「柱淳々」さん、良く通る声とスピード感のある語り口で物語の世界へ引き込まれました。

「徳島市八万南小学校カラーガード部」さん、限られた空間を目いっぱい使った素晴らしい演舞でした。その姿から皆さんの「楽しい」という気持ちが伝わっていきました。

「yayo」さん、「久しぶりのダンス」とおっしゃっていた昨年とは違う一面を見ることができました。次回はどんな表現が見られるのか、楽しみです。

「劇団オヒトリさま」さん、ラブレターの朗読と誰もが知っているクラシック楽曲という組み合わせは、これまでにあるようで初めての感覚でした。

「たけと愉快な仲間たち」さん、映像を取り入れた今回のスタイルは今年だから生まれた表現だと感動しました。まさにチャレンジ！映像と演奏に込められた、コロナ禍でも活動を前へ進めようという強い気持ちに心を打たれました。

「CHARME」さん、軽快なリズムに乗せてお二人の“ダンスが好き”という気持ちがひしひしと伝わってくるステージでした。

「おつ姫。」さん、日常の大切さに気付いた心の内をシンプルかつストレートに表現されていると感じました。

お一人お一人のチャレンジが、明るいあしたを創ると信じています。昨年に続き、たくさんのチャレンジを拝見できて光栄でした。出演者の皆さま、舞台を整えてくださったスタッフや関係者の方々に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました！

徳島新聞社事業局地域連携推進室

≫パフォーマンス部門作品

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