2022年2月6日(日曜日)15:00より、フリースペースチャレンジとくしま芸術祭2022表彰式(非公開)を行いました。 各部門審査員の講評をごらんいただけます。
※下記の各審査員名をクリックまたはタップすると、 講評をご覧いただけます。
内藤 隆
鳴門教育大学 教授 ※展示部門審査員長
フリースペースチャレンジとくしま芸術祭展示部門にご応募をいただいた皆様、それぞれ熱のこもった作品をご提示いただき有難うございました。 毎年、皆さんの作品の観点の幅の広さに圧倒されながら審査をしますが、それぞれの発表者の主張や表現の方法・工夫のしどころに、自分の持っている常識の衣を一新させられるような感覚をもらっています。そういった出品作品の各要素を感じながらも、そもそも数学などのような「正解」の無い評価ですので、審査には毎回苦労してしまいます。 まずは受賞者の皆様、おめでとうございます。 グランプリの早渕さんは、今回はカーテンと廃校の窓枠でした。受賞理由にもあるように、与えられた場所をよく把握し、照明や風を使った非常に効果的な表現をされ、最高に強い印象を作り上げたと思います。審査員の先生方の総合点も文句なく高いものでした。ただ今回は、私には若干「どこかで見た作風」にも感じられました。私が似ていると感じてしまった「作風」を凌駕して、より確かな独自の作風の確立を目指して、是非別の新たな段階へチャレンジしていって下さると嬉しいです。早渕さんなら、もうできると思います。 準グランプリの新田千恵子さんの作品は、その作品の上へ寝転んだり走り回って遊びたくなるような、とても楽しい作品ですね。居間にいながら四国遍路もできて、その上にプラレールを置けばJR四国の鉄道網も作れそうな、遊びの可能性をいくつも感じさせるものでした。小さい子供と遊ぶのにぴったりなイメージで、これから瀬戸内海を超えて中国・九州・関西圏への展開も期待してしまいました。 チャレンジ奨励賞のKuwahara Harukaさん。これからも写真は是非撮り続けてください。平面作品も作り続けてください。あなたのセンスを是非磨き、継続してください。量は質を伴います。 ツギハギ。さん。お二方の作品の傾向の違いはもとより、見せ方に驚きと面白さを感じました。木の椅子は座面に登るべきか座るべきか、3.5mの高さに飾られた絵と、左のビニルの絵を両方見るためには、あの部屋のどこまで下がらなければいけないのか。 榊愛美さん。木版画の原板をそのまま画面として使用しているのですね。独特の色合いで仕上げられた幾つもの(マスクの無い)顔の表情に魅力を感じました。 MIP賞のきたやま あいさん。今回の作品を見て、黒澤明の「生きる」という映画の1シーンを思い出しました。喫茶店の階段を、主人公が降りていくと、下から誕生日を迎えた若い少女が登ってきてすれ違うシーンです。 さて、受賞から漏れた方々の中にも、私にとっては高評価の方がいました。 牧内英治さんの「こがし絵」は決して新しい手法ではありませんが、高い表現力がありました。素材の燃焼という酸化現象で作られたハーフトーンの綺麗なこと。そのトーンを使い切って植物(自然物)がスケッチされているのがとても美しかったです。 前野亮司さんの染織作品は、工芸の正統派といった印象で高い技術力を感じます。一方で、もっと(この公募では)暴れて欲しいとも思いました。 市川裕一朗さんの書は、フォントの美しさを改めて見せてくれたと思います。質の高いデザイン専門誌を見ているような表現で清廉な美しさが抜群でした。 萩野ひろみさんの藍染も素敵でした。全て絞りで綴った波線などの模様が可愛らしく、長さもあったため、今後より大きく展開していかれるのを楽しみにしてしまいます。 さて、ここで触れなかった方も高い技術や面白い表現・工夫が溢れています。見方を変えたり、ちょっとした工夫を試してみたり、懲りずに繰り返したりしていけば、階段を一歩登るように新しい展開があるはずです。 皆様、また来年もここにチャレンジして下さい。お待ちしています。
佐原 理
徳島大学 准教授
本年度もまた数多くの作品が集まり、コロナ禍の中で多くの人々の内なる表現の欲求や様々な課題、葛藤、技術、社会問題等に新たにチャレンジしている一人一人の姿が頭に浮かび感じとることができました。その1歩1歩の弛みない前進を広く県民の方々と共有し、生きる力を与えてくださった皆さんのご尽力にまずは感謝を申し上げたいと思います。私も皆様から勇気をもらった一人です。審査員という烏滸がましい立場を申し訳なく思いつつ、審査あらましを述べよとの事ですので、まずは毎年のように考えさせられる、「何をチャレンジとして発見したら良いか」という超難題に前景化して考えてみたいと思います。1つは美術館で決められた手法で展示しなければならないという枠組み自体が既にチャレンジですね。また、その中で芸術って一体なんなんだ?という問答にも突き当たるのだと思います。「芸術とは何か?」その多元なる混沌へのチャレンジはまだまだ足りないのではと感じています。どことなく見たことあるものだったり、みんながやっているスタイルや方法論、芸術ってこういうものでしょ?という曖昧模糊な様式をもっと逸脱していけば良いのにと思って作品を拝見していました。このコンペはまさにそういうところに着地点を求めても良い唯一の機会です。 とは言え、それに固執してしまっては日々伝統的技術を磨いたチャレンジや、はじめてトライしてみた!というチャレンジ、老若男女、とにかくみんなの前で発表することがチャレンジ!という機会を奪ってしまうことになりかねません。それもまたこのコンペがもつ性格の一面です。そうした混然一体な会場を見渡して思うことはやはり、核心・革新・確信といったどの表現も内包するような「カクシン」の強さがあるものに惹かれるということでした。受賞作品群にはそうした点で伝わってくる力強さがありました。特に私の心を捉えるのは死やフェミニズムといった一般的に忌避されがちなものに1つの答えを見せる骨壷の作品です。何年にもわたって制作されているので今年も骨壷があった!と嬉しく拝見しました。私も生きっぱなしの人生を送らず、しっかり自分らしく死にたいものです。うまく死ねるように頑張ろうと勇気をもらいました。 その他受賞には至らなかったものの、全く作者の名前も作品も無い作品もありました。大変面白かったので点数をつけるスキもありませんでした(笑)。本当に手の込み入った籐による作品や、去年に引き続き魅力的な水彩の作品、特に桟敷の空間表現なども楽しみながら拝見させていただきました。鳴門のわんわん凧の紋を扱った作品も、最近昭和初期のわんわん凧の映像を発掘したところだったので大変興味深く拝見させていただきました。屏風風の襖に女子高生を描くという作品もまたチャレンジが見えてよかったです。小学生の皆さんの作品もありました。美術教育を専門の1つとする私としては、この時期の子どもたちの表現がチャレンジの会場にあることが素晴らしいことだと思います。子どもが何かに集中して創りだしたらそれは親と子の最初の戦争です。部屋や家が復元不可能になるほど子どもの創造性には底がありません。私が子どもの頃も押し入れの壁いっぱいにマジックで描きまくっていました。兄に至っては近所の神社の壁に壮大な落書きをしています。美術教師で画家だった祖父や父はそれを咎めることもなく「素晴らしい絵だ!」と褒めちぎり、リトグラフにして残す方法について真剣に話していたのを覚えています。多分私たち兄弟のいないところで謝罪していたんだと思いますが、そういった環境のおかげで創造的でクリエイティブなスキルが身について今の仕事をしています。21世紀の予測不可能な社会にとって出品者の皆さんが持つ「立ち止まって何かを考え動かそう」というチャレンジそのものが世界をより良くしていく原動力だと信じています。また、来年もぜひチャレンジし続けてください。また皆さんの素晴らしいエネルギーにお目にかかれることを期待しています。
丸中 登紀子
フランス語講師・翻訳通訳者
本芸術祭の審査員を今回初めて担当させていただくこととなりました。職業柄、芸術との繋がりが深いフランスと長年関わってきてはおりますが、芸術作品を具体的に評価させていただくことは初めてのことで、立場の重みを感じながら真摯にそれぞれの作品と向き合わさせていただきました。 会場に展示された作品からはアーティストの情熱や表現する楽しさがひしひしと伝わってきました。表現する手法がさまざまある中で、具現化したい物事や自分の心情、思考を、作品を通じていかに他者へ訴えかけるか試行錯誤されたことだと思います。そんな時、時には制作技術もさることながらそういった思いも作品に強みを与えるものだと感じました。審査は困難を要する作業でしたが、本芸術祭のテーマ«チャレンジ»というキーワードに沿って、表現力やコンセプトや背景などを吟味し、各受賞作品を審査員の皆様と時間をかけてじっくり協議、選定させていただきました。 参加者の皆様が徳島出身または在住アーティストということで、徳島や四国をテーマとした作品や徳島ならではといった作品も見受けられました。自然に囲まれた穏やかな環境からインスピレーションを受けて制作された作品からは郷土愛を感じます。阿波踊りや海水浴のシーンを柔らかい色使いやタッチで描かれた作品は、まるで作品から三味線の音色やにぎわい、子供達の声が聞こえてくるようで、見入ってしまいました。フランスではterroir/テロワールという言葉をよく使います。特にワインや食材の産地という意味で使われますが、地方の特徴や個性を生み出す大地という意味を表す大切なワードです。徳島の«テロワール»。そこで生まれた意味や制作活動をする意味が何かあるのかもしれません。その背景も考えると作品にさらに奥行きがでます。 また、コロナという世界全体が経験したことのない問題に直面することは、作品に影響を与えていることだと思います。特に«繋がり»を求めての作品作りは心に響くものがありました。抑制された生活の中で、混沌とした気持ちを内に抱きながら、それを表現の糧とし、作品に取り入れる力強さ、«ある時»に留まらず環境に添うことができる柔軟さを感じました。反して、«ある時»の自分に向き合って表現することで観る者にノスタルジーや当時の記憶、普遍の思いを彷彿させる作品もあり、作品を通じて過去や未来へタイムトラベルできることも、芸術というものが持つ面白さだと実感しました。 芸術は生活に光を与えるものだと思っています。それは単に明るい場合もあるでしょうし、影を落とす光でもあり、アーティストの意図や観る側の心的状況によって変わります。また芸術は、生活の中に無くてもいいもののようで、無くてはならないものです。芸術なんて、、、と尻込みする声もありますが、気取らず気軽に自由に触れて感じ取るものだと思います。本芸術祭に応募された方は、賞の受賞という目標もありますが、それ以前に出展することを楽しんでおられるように思いました。ご来場いただいた方も芸術をより楽しむことができるよう、例えばご来場時に好きな作品に投票してもらうなど、そうすることでアーティストと観る側の対話ができるようになればより発展した芸術祭となるのではと思いました。また、コロナ下でインターネットを活用する幅がより広がったことを機に、SNSを利用するなど本芸術祭を徳島から外へむけてもっと発信することもできるのではないかと思いました。 芸術を通して徳島を豊かに。本芸術祭のさらなる発展を願い、またアーティストの皆様のさらなるチャレンジ、今後のご活躍を楽しみにしています。
竹内 利夫
徳島県立近代美術館 上席学芸員
竹内です。思い思いの展覧会を開催してみていかがでしたか。一人一人のアートとの向き合い方、自分の限界までさらす勇気を、観る人はみな感じ取っていると思います。私は学芸員なので、人が絵と出会う場の雰囲気や距離感について考えない日はないのですが、そういう意味でこのイベントは実はとても懐深いものがあります。展示に対する心づもりや、それどころか発表するということへの気負い方もみなさんばらばらです。整然と区切られたブースのおかげで一見均質に見えますが、そこには生々しい芸術性のそれぞれが、マイペースで居場所を陣取っているのです。そんなどきどきするような生態系の森に迷い込んで観覧を楽しめるというのは、これは幸福です。 さてここでは、展示という観点から振り返ってみたいと思います。受賞された作品は、タイプこそ違えど展示という営みの引き受け方が、上手いというよりもむしろ、ご自分の課題を乗り越える大変な苦労の物語として胸を打ちます。受賞にいたらなかった作品だって、個々の表現としてみるならそれぞれのクオリティと背景を持っています。けれどそれらの、どこを切り取って、どんな展覧会にしたいのか、その自分自身への課題と、作品とが、よいバランスで高め合えたとしたらそれは幸運なことで、何というか勢いのある表現が生まれます。早渕さんや新田さんの自己更新の突破感には、人を勇気づけるものがあふれていたように思います。 そのような意味で、賞から外れましたがタケダナオユキさんの展示も勢いを感じましたし、新谷進さんのやさしい作風の奥にも、すべきことしたいことが次々と見えている展開力が見えて頼もしいです。Kuwahara Harukaさんは作品もさることながら展示の筋がよく惚れ込みました。オーソドックスな手法ながらテーマもサイズも物語性もかけがえのないバランスでうまみをたたえています。それが絵だけ、言葉だけ、演出の力ではない奇跡だということを覚えておきたいと思います。 宇田見飛天さんは、絵も好きですけど、ちゃんと展覧会になっている点に好感を持ちます。並べ方整え方のことではありません。絵画への探究心と、見ていて楽しいイメージと、描く本人も楽しいであろうフォーマットと展示コンセプト、その三つ巴の魅力が醸し出されていました。見る人を説き伏せるような圧はない代わりに、通りがかりの人もふと絵画談義にまきこまれそうな、いい空気感が流れています。なる川かよさんや、萩野ひろみさんの展示にも、穏やかな中に自らの課題が見えている強い意志が伝わってきて、それが観る人を静かに引き込むのだろうなと思いました。 飾り方の奇抜さとか、「インスタレーション」っぽさ、ということではないと思っています。例えば、Caさんや、歩未さん、あるいはsgmkさんやみくはんこさんのように、描きたいものがはっきりしていて世界観がある人は、コレクション展として十分展示が成立しています。あえて展示としての課題を考える必然性は、人から押し付けられるものではないのかもしれません。これはどの方にも提案してみたいことなのですが、心の中で展覧会名とかミュージアムの名前を決めてみてはいかがでしょう。たかが5メートルされど世界に一箇所しかない5メートルです。入口はどこで、お客さんは何から見て、どんな体験をして、どんな顔をして会場を後にするのか。そんな5メートルの物語をイメージして展示という現象を構想してみて欲しいのです。 あるいは、工芸・クラフト系や写真など、技の面を正確に見てもらいたいタイプの展示にも言えます。ディスプレイに凝ると商品陳列みたいになるからと遠慮があるかも知れませんが、それこそこの分野の展示にどんな可能性があるのか発見したいです。置き方や吊り方の技術の話ではありません。製作に打ち込む自分と、観る作品として眺めにきた人との間にどんなコミュニケーションがあり得るのだろう、夢をふくらませてチャレンジして欲しいのです。これは私自身がいつも頭をひねって、自分の課題にしていることなのですが。 展示を見て、人生が変わった、アートの意味を見つけた、そんなことは実際に起こることなのです。
≫展示部門作品
森 惠子
公益財団法人 阿波人形浄瑠璃振興会会長 ※パフォーマンス部門審査員長
チャレンジとくしま芸術祭2022パフォーマンス部門に参加された皆さん、お疲れさまでした。今年もワクワクしながら審査させていただきました。 受賞された皆様おめでとうございます。今年もコロナ禍の中での練習や、パフォーマンスの組み立てを考えるのは大変だっただろうと思います。 学校関係のダンスやカラーガードが出演できなかったのは残念ですが、来年のチャレンジをお待ちしています。 今回も受賞された方々はもちろんですが、皆さんそれぞれが工夫をされているのが感じられました。 複数回チャレンジされている方も、依然と違う見せ方をされた方、全く異なるジャンルに挑戦された方と今年も楽しく皆さんのチャレンジを楽しませていただきました。 匿名Aさん、以前とは全く印象が変わって、洗練されたカラーガードに圧倒されました。 徳島の景色が思い起こされるオールドソングスさん、去年とは違った表現の、yayoさん、おつ姫。さん、とても楽しく拝見しました。 また、もちきょうだいさん、弟さんのパフォーマンス、素晴らしかったです。 まだまだコロナ禍でのパフォーマンスは難しいものがあると思いますが、いろいろな工夫をしながら新たなチャレンジをお待ちしています。
カタタチサト
ダンサー・演出家
受賞された皆さん、おめでとうございます。 今回も感染症対策をしっかりされた中での開催で、演者、観客、それを支えてくれている主催、スタッフ各位、無事にパフォーマンス上演できたことが本当に奇跡のようです。おつかれさまでした。出場を辞退されたチームもあり、各々悔しいこともありますが、どうかチャレンジを続けて、パフォーマンスをこれからも生んでいってほしいです。。 抑圧された中でも、変わらず私たちをパフォーマンスにかきたてる力とはいったい何なんでしょうか。受賞されたチームからは、インターネット配信や録画では収まりきらない、生の時間で生の人間が、今しかできない!今一番のチャレンジを見せてくれたことが心をひきつけました。自分自身が感じて動いていることをパフォーマンスに昇華させて観せてくれる姿にこちらの心も感じて動く。相互作用がライブパフォーマンスの醍醐味だと思います。 受賞された方へ、今後もご自身のパフォーマンス創作に切磋琢磨されることと思います。また見たいと思わせてくれた皆さん、それぞれにリクエストを一つずつ送りたいと思います。 匿名Aさんへ、ソロパフォーマンスで一つの構成を作るときに、シーンをオムニバスにせずにストーリー構成してみてはどうでしょうか。①→②→③などつなぎ目もシーンとして見せる。たとえば、着替えていく様子を一つのシーンにしてしまう。または一瞬で次のシーンに早変わりする劇的な変化。はたまた、分身であるフラッグに光があたる情景が次へのつなぎ目になる、など。期待しています! JUDYさんへ、創作の方向は安定していて世界観ができているので、言葉に込めた想いを、よりパフォーマンスの中で伝わるように進化させて見せていただきたい!という欲求がありました。お日様の光は何を照らし、何を変化させ、どこへみんなを連れていこうとしているのだろう。楽しみにしています♡ 山口和也さん、玲鳳(Ray-hou)さん、は今回のパフォーマンス作品を舞台で見ることができるのを嬉しく思います。照明や舞台機構が使える中で、ダンサーの内面世界をはっきり振り付けとして見せる部分や、空間にゆだねることもできる部分をぜひ楽しんで作り込んでいただきたいと思います♪ もちきょうだいさん、2人の素のリアクションもとても魅力的でした。MCも自分たちで録ってみたり待って見守っている姿もかけあいのようで素敵だったので、ぜひ舞台で観せてください☆ 最後になりますが、パフォーマンスを見ることで心おどる体験をぜひ多くの方に体感していただきたいです。受賞者発表会で多くの方が足をお運びいただける社会状況になることを願っています。
橋本 真味
徳島新聞社事業局 地域連携推進室
チャレンジとくしま芸術祭 パフォーマンス部門の舞台に立たれた皆さま、すてきな発表をありがとうございました。皆さまの個性あふれるステージを拝見し、コロナ禍の困難な状況でも、新しい自分の表現を目指して挑戦し続けることの大切さを改めて感じました。 甚だ簡単な内容で恐縮ですが、お一組ずつ感想を述べさせていただきます。 yayoさん 心の葛藤、静と動を、全身で表現されているその姿に見入りました。花びらのような効果をつけられているところに、新たなチャレンジの要素を感じます。次はインストでの表現を拝見してみたいです。 野木啓太さん 愛するお嬢さんや古里・徳島に対する深い愛情が込められた歌詩が聴きやすいメロディーにのって心にすっと入ってきました。 オールドソングスさん 変わらず哀愁たっぷりのオリジナル曲と、曲紹介のお話しでした。やわらかい声から広がる、ゆるっとしたひとときに浸りました。 竹繁文章さん・萩原彩さん 力強く繊細な三味線の音色と伸びやかで美しい歌声に圧倒されました。せっかくの機会でしたので、生歌・生音に触れてみたいとも思いました。普段出演される音楽ホールとは違った環境での演奏は新たなチャレンジだったのだろうと推察します。 もちきょうだいのお二人 午後のトップバッターで緊張されている中、素晴らしい技をたくさん見せていただきました。お母さまの解説も分かりやすかったです。盛り上げるのが上手で、何より楽しそうにパフォーマンスされていたのが印象的で引き込まれました。最後にもう一回、お二人のけん玉を見たかったです。 お手玉演舞の会の皆さん 懐かしい曲にのせてお手玉を弾く音が響き、その上、新しい技や工夫のあるすてきな演舞でした。皆さんの年齢を感じさせない、挑戦される姿勢を見習いたいと思います。 柱淳々さん 丁寧な説明と大きな身振り手振りで、お子さんや落語に馴染みがない方にも楽しんでいただく工夫を感じました。古典落語といいつつ、新鮮さのある面白い高座でした。 山口和也さん お一人芝居のイメージから一転、太極拳の動きを織り交ぜられたようなキレのあるダンスを披露していただきました。新しい挑戦、素晴らしいと思います! JUDYさん あたたかい歌声とピアノの音で表現されるJUDYさんの世界に引き込まれるようでした。まるで曲中の登場人物が目の前に現れるような感覚。楽しいステージでした。 566→567の皆さん 映画の一場面に使われる効果音楽のようで、プログレやインストバンドのライブのようでもあってシニカルな感じで…聴覚と視覚に訴える表現でした。中盤のギューインという高音にヤラれました。 匿名Aさん 私が持っていたカラーガードのイメージを大きく超えたステージでした。前半はテーマパークのようなエネルギーと華やかさ。後半は激しいギターのメロディーと投げ上げられたフラッグの動きがリンクして、見ているとぐっと気持ちが高まる感じがしました。 おつ姫。さん 自ら声高に発信しなくても、「奥に秘めた強さや美しさもあるということを知ってほしい」という思いを、おつ姫。さんの朗読への挑戦から受け取りました。 ロンディーノの皆さん 躍動感あふれるダンスにパワーをもらいました。コロナ禍が始まって、そして元通りの生活にもどるまでをスタイリッシュなダンスと構成で見せていただきました。最後の皆さんの笑顔から、また友達や大切な人と何の心配もなく触れ合える日が来るという希望を感じました。 玲鳳さん 流水音などを組み合わせた音楽や、ゆっくりとした体の動きから、一気に神秘的な空間に引き込まれていくような感覚でした。私たちを取り巻く自然やたくさんの生命を、体一つで表現されているような世界観に見入りました。 田村可奈さん 曲の世界をすっかり表現されている、まるでミュージックビデオを見ているようなパフォーマンスでした。お化粧をされている場面は、まさに「キレイになりたい」という感じで、ドキッとしました。ほかの曲ではどんな表現をなさるのか、気になります。 以上でございます。 過ごしにくい日が続く中でも、歩みを止めず、こうして表現し続ける皆さまの姿に、力をいただくことができました。残念ながら出場がかなわなかった皆さまも、次の機会にはチャレンジあふれるステージをご披露いただきたいと存じます。さまざまな対策、お心遣いをなさりながら本日のためにご準備いただいた出演者の皆さま、運営ご担当の皆さまに、心から感謝いたします。 皆さんのチャレンジが、明日の徳島を明るく照らすと信じて。またどこかで、お目にかかれる日を楽しみにしております。
丸山 貴成
スタジオソル代表
この度の「チャレンジとくしま芸術祭2022」にご出演の皆様、その素晴らしいパフォーマンスを応援してくださったお客様、そして前回同様コロナ禍での準備や運営にはご苦労があったかと思いますが、素敵な舞台を開催していただいた関係者の方々に感謝いたします。 私は昨年に引き続き、芸術祭に審査員として参加させて頂く運びとなりましたが、あらためてこのステージの楽しさ、面白さを実感するとともに、各々多岐にわたる表現に驚き感動し、審査することの難しさを痛感いたしました。日頃、ラジオ番組やアニメーション作品の制作、また演劇・声劇などの表現に携わる経験を踏まえ、今回も「チャレンジ」「表現力」そして「伝えたい想い」という観点で審査させていただきました。 まず受賞された皆様、おめでとうございます。それぞれの感想は、受賞者さま紹介ページで総じて掲載されておりますので割愛しますが、観ていて心を動かされることが多くありました。ぜひ新しいチャレンジ、次なるパフォーマンスに期待したいです。そしてここでは、受賞は逃しましたが個人的に心に残った方々の感想を少しばかり添えさせていただきます。 野木啓太 さん 甘くて心地よい高音の歌声が印象的で、娘や故郷への愛情にあふれたパフォーマンスでした。個人的に、娘を持つ父という立場で共感し、歌詞が心にしみました。 竹繁文章・萩原彩 さん 津軽三味線奏者と吟詠家でそれぞれ師範代というお二人の実力通り、非常に高い技術と表現力で観客を魅了されていました。本芸術祭でしか披露できないような演目も期待したいです。 お手玉演舞の会 さん いくつになってもチャレンジする精神に心打たれました。「雨ふり」における演出が、お手玉を雨に見立て情緒的で良かったです。集中力・持続力もあり、横並びの演舞は迫力満点でした。 566→567 さん 繊細かつ挑戦的で、個人的にはプログレッシブな要素も感じられ、非常に刺激を受けました。また次も聴きたい、観たいと思いました。編成も面白かったです。 おつ姫。さん 構成が独特で、でも表現はシンプルに徹していて、想いがストレートに伝わってきました。ダンスの後に朗読する試みは観ていて少しハラハラしましたが、そこにまた意図があるのかなと想像すると、納得できました。 田村可奈 さん 表現が始まった瞬間、表情にその登場人物の思いや意思が感じられ、息を呑んで見入ってしまいました。構成としてオチが予想できてしまい、そこに裏切りがあると印象が変わったのかなと感じました。機会があるなら、もう少し長尺で観てみたいです。 今年のステージも、全てが刺激的でチャレンジ精神あふれるものとなっていました。私自身もそうですが、創作や表現において、挑戦し続けることは何よりのモチベーションとなります。どうかこの芸術祭も、表現者の皆様も、環境は様々でございますが、未来に向かって進みますよう、祈念いたします。ありがとうございました。
≫パフォーマンス部門作品