2007年10月27日

 ついにこの日がやってきました。開場式を祝うこのコンサート、実は春からのワークショップ事業とのつながりの中で企画されました。8月の「通崎睦美と手作り木琴」に参加して下さったお客様の顔も見えます。
 演奏が始まると、彫刻作品のならんだ広い美術館ロビーが一つの玉手箱のように、いっぱいの音色に満たされます。みんなが知っている身近な曲からクラシック、ポップスや現代的なものまで、あっと言う間に時間は過ぎて行きます。3人の奏者がくるくるメロディを奏で合う様子はまるでダンスを見ているようで魅力たっぷり。いっぺんでトリオのファンになってしまいました。年輩の方から赤ちゃんまで、甘く色鮮やかなマリンバの音色につつまれます。

 そしてプログラムの最後は「天水スイープ」、初演です。今日のために作曲家野田雅巳さんが書いて下さった新曲。誰もが記憶の中に持っている、阿波踊りを思わせる響きが随所に現れては万華鏡のように姿を変えていきます。お祭りの渦中のあのどよめき、遠くで聞こえる鳴り物の音、あるいは夏の激しい空、雨や風のように。休む間もなく次々と新鮮な場面が押し寄せ、走り去っていく。あたかも映像詩を見ているような野田さんの天水ワールド。一瞬の静寂の後、またどこからともなく震え出すリズム。気がつけば、鑑賞している自分も間違いなく、天水を生きる時間の中にいたのです。最後は、大いなる神に出会うがごとき地響きの中に演奏は終わります。天水の生きざまを支えるもの、それは内なる神なのだと思ったことです。もう一度聞きたいです。CD出るのかな。いやぜひともライブで聞かねばなりません。

通崎さん、今田さん、後藤さん、そして野田さん本当に素晴らしいプログラムをありがとうございました。(竹内記)

名称 2007.10「通崎睦美マリンバ・トリオ コンサート」
<第22回国民文化祭・とくしま2007美術展 開場式コンサート> 徳島県立近代美術館ロビー
演奏 通崎睦美・今田香織・後藤由里子(マリンバ奏者)
日時 平成19年10月27日[土] 11:00-11:45
場所 徳島県立近代美術館ロビー
入場者 108人
サポートスタッフ 岩野勝人、黄瀬 剛、川合啓義、二木奈緒、中村友香

通崎睦美マリンバ・トリオ コンサート   →PDF1  PDF2
第22回国民文化祭・とくしま2007 美術展 開場式コンサート
2007年10月27日
開演 11:00

プログラム
1 スペイン..... E.シャブリエ
2 イッツ・ア・スモールワールド..... R.M & R.Bシャーマン
3 小品集..... W.A.モーツァルト
    グラスハーモニカのためのアダージョ
    - タルティン - ジーグ
4 てィーち・でィーる・じんじん..... 林光
    「島こどもうた2」より
5 ぼくはくま..... 宇多田ヒカル
6 秋の音さやか..... 野田雅巳 編
7 天水スイープ(初演)..... 野田雅巳

マリンバ
通崎睦美 今田香織 後藤由里子

編曲
土肥寿美子(1・2) 通崎睦美(3) 野田雅巳(4・5)

 徳島県ではこの春4月から、第22回国民文化祭・とくしま2007「美術展」のワークショップ事業を、県内各地で連続開催してきました。去る8月8日には、近代美術館を会場として、「通崎睦美と手作り木琴-竹炭バージョン」を開催し、子どもから大人まで27名の参加者が、ものづくりと音楽が融合する魅力たっぷりのプログラムを体験しました。
 通崎睦美さんは、ワークショップ事業の総合コーディネイター岩野勝人さん(大阪成蹊大学芸術学部)との協同ワークショップを、2005年から全国各地で手がけてきました。異なる分野のアーティスト同士の熱い信頼の上に、今回の徳島での事業も成立しています。
 本日の「美術展」開場式を祝うこのコンサートは、ワークショップ事業の成功を高らかに宣言するファンファーレでもあります。どうぞお楽しみ下さい。

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主催: 文化庁、徳島県、徳島県教育委員会、第22回国民文化祭徳島県実行委員会
会場: 徳島県立近代美術館ロビー

第22回国民文化祭・とくしま2007 美術展
2007年10月27日[土] - 11月4日[日]

第22回国民文化祭徳島県実行委員会事務局
770-8570 徳島市万代町1丁目1番地(徳島県国民文化祭課内)
tel 088-621-2112


 国民文化祭「美術展」開場式です。文化庁挨拶に始まる厳かな式典の中、14人のメンバーは緊張の面持ちで進行を見守ります。来賓祝辞、生徒紹介に礼儀正しく応じる姿はさすが高校生。そして何といっても今日一番の見せ場、除幕式なんて近代美術館でもやったことありません。ドキドキ。

 大勢のお客様の視線を集め、両校の部長さんはじめ4人の代表が真っ白な階段を上がっていきます。フラッシュの光を浴びる姿に、ちょっぴり保護者気分でウルウル。きれいな白い幕が一気に舞い落ちて、くもならべの全貌があらわれました。どうですこの勇姿。

 続いて岩野さんからワークショップ活動の説明があり、無事テープカットで開会となりました。阿波踊りの天水に通じる、ものづくりの楽しさを熱く語る岩野さんでした。徳島の国民文化祭「美術展」ならではの開場セレモニーとなりました。終わった後は本当にみんないい笑顔。お疲れさま。ありがとうございました。

名称 2007.10「くもならべ」−除幕式−
<第22回国民文化祭・とくしま2007美術展 開場式> 徳島・徳島県立文化の森総合公園三館棟中央ロビー
日時 平成19年10月27日[土] 9:40-10:00
場所 徳島県立文化の森総合公園 三館棟中央ロビー(徳島市八万町向寺山)
参加者 14人(徳島県立城南高等学校+徳島県立城ノ内高等学校 美術部)
協力 玉田修平(徳島県立城ノ内高等学校)、林伸也(徳島県立城南高等学校)

2007年10月21日

 待ってましたの秋晴れ、まさにくもならべ日和です。朝10時には二校美術部の元気メンバーが集結。いつも静かなカスケードに歓声がこだまします。岩野さん、そして玉田先生、林先生の励ましの言葉でスタート。一旦解体されたそれぞれのくもならべを、元通りに再現するのではなく、ここでしか見ることのできない光景へと再構成していきます。10:20作業開始。はしごにのぼって、足下にもぐりこんで、滝の上まで駆け上がって、ロビーのガラス越しに空を見上げて。みるみる色の雲がフェンスの上に湧き上がっていきます。広い空間がせまく感じるくらい。今日ここは美術部メンバーたちの楽園です。--続きは完成後。


 13:00再開。お昼前にはあらかた、夏に描いた雲を掛け終えました。いよいよ新作のドローイング。カスケード横に臨時アトリエが出現し、もくもくと取り組みます。随分時間をかけた力作も。それもそのはず、一人で持ち上がらないほどの巨大ぐもをチームで描いていたのです!
 それに今日の彼女たちは一味違います。くもの構成を話し合う声にも、色彩の量やシルエット、動きのバランスをよりシビアに吟味する様子がもれ聞こえます。だんだん混み合ってくる空間に、新作ぐもの居場所を探す視線はもちろん真剣勝負。いかに主張できるか、いかに響き合えるか、工夫の跡がありありと伝わってくる、戦略的な創作力にホント感心しました。「僕らの指導いらないんです…」とは岩野さんの弁。

 人工的で無彩色の空間が、誰も見たことのないエネルギッシュなステージに生まれ変わりました。文化の森のこんな光景を見せてもらえて、実に幸せな思いです。通りがかりの方や、他の施設のスタッフが、キレイなあ、こんなことができるのか、と感想を下さいます。
 美術部のみんな、本当に頼もしい。良い仕事だと思います。十分なみごたえのあるアートが今日生まれました。この質と自分の力を、そして何よりも今ものを作っていることの楽しさをきっと確かめてくれたと信じます。お疲れさまでした! さあ後一週間。栄光の除幕式が待っています。

名称 2007.10「くもならべ」−文化の森編−
<第22回国民文化祭・とくしま2007美術展 WS 第7弾> 徳島・徳島県立文化の森総合公園三館棟
日時 平成19年10月21日[日] 10:00-16:00
場所 徳島県立文化の森総合公園 三館棟中央ロビー、カスケード(徳島市八万町向寺山)
参加者 27人(徳島県立城南高等学校+徳島県立城ノ内高等学校・中学校 美術部)
協力 玉田修平(徳島県立城ノ内高等学校)、林伸也(徳島県立城南高等学校)
サポートスタッフ 黄瀬 剛、二木奈緒、中村友香、大石起聖、平地裕一、田計珠実、油井真秀、和田悠
イワノブログ: 10月20日 10月21日 10月21日-2 10月21日-3
高知での見学記もご一読を: 2005年8月19日

2007年10月20日

美術展ワークショップのしめくくり、高校生による「くもならべ」の合作ワークショップ前夜。昨日の19日から徳島入りした先発隊が、朝から三館棟カスケードにフェンスの設置をして下さり準備万端です。閉館後、大阪から後発隊が到着し現場を最終確認。岩野さんはじめ、たのもしいIWANO GUMIスタッフ総勢9名で明日にのぞみます。高校美術部のパワフルな面々が、どんなインスタレーションを、どんな文化の森の風景を作り上げてくれるのか、楽しみです。