美術館TOP よみもの 「わたしは謎だ。」 I am an enigma.

 

写真

 

図版1
〈アングルのヴァイオリン〉
1924/Later print

 

 多彩な制作を繰り広げたマン・レイですが、なかでも写真はとりわけ重要な表現手段でした。自作も含め、交友のあった作家仲間の作品を撮影した写真。アーティスト達や思想家、文筆家、あるいは女性モデルや恋人たちの肖像写真。ファッション雑誌をかざるモード写真。いずれもが、単なる記録や肖像にとどまらず、その写真自体が作品となるようなものです。

 

図版2
〈レイヨグラフ(ピストルとアルファベット盤)〉
1924/1963

 〈アングルのヴァイオリン〉(図版1)は19世紀フランスの巨匠アングルの絵画からヒントを得て、当時の人気モデル、キキにポーズをとらせたものです。背中に記号を入れると楽器に見えてきます。実際にアングルはヴァイオリン好きだったのですが、一説では演奏はあまりうまくなかったとか。このタイトルはフランス語の故事で「余技」。「下手の横好き」と解釈もできます。シャレのきいた粋なネーミングですね。

 

図版3
〈メレット・オッペンハイムの横顔 ソラリゼーション〉
1933

 また印画紙の前に物を直接置いて、光を当ててつくる方法(レイヨグラフ)(図版2)や、暗室作業中に、照明をつけて光を当てることで、黒くなるべき部分が白くなったり、輪郭が黒くなったりする効果をだす方法(ソラリゼ-ション)(図版3)も工夫しています。光と影が生み出す驚異とポエジー。まさしく、光線/人間=マン・レイの面目躍如といったところです。

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はじめに
人間/光線! 何者?
写真
オブジェ 言葉あそび
映画
絵画、版画、そして再制作
距離感、そして目撃者
マン・レイとは、何者だったのでしょう。

   

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