2006年12月08日

各学年で風景画の鑑賞をしました

 徳島出身の水彩画家、三宅克己(みやけ こっき)の作品に親しんでもらう鑑賞の授業を、させていただくことができました。1年から6年まで、各学年で、楽しい鑑賞の時間となりました。


 おじゃましたのは、小松島市の小松島小学校。当館が、現場の先生方や大学の先生といっしょにつくった教材、「鑑賞シート」を使った出前授業です。
 日本だけでなく、世界を旅して描いた三宅さんの風景画を写真で見て、想像を加えながら鑑賞を楽しみました。1年と2年では、「くじらぐも」(子どもたちが雲に乗って海や村、街を見るお話。『こくご一 下』光村図書)で旅への関心を高め、好きな作品のなかで、やってみたいことをいろいろと聞きました。「きもちのいい野原でかけっこをしたい」、「(渓流で)つりをしてみたい」といった楽しい感想が次々にでてきます。絵をよく見ることと、想像することが、子どもたちのなかで重なっていくのを感じます。
 3年生では、身近にある風景を写真に撮り紹介する授業があったと聞きましたので、その場所を教えてもらったり、4年生には旅行の思い出を聞いたりして、一人一人の体験と風景画の鑑賞が結びつくようにしました。
 どの学年でも、作品をよく見るための(とっておきの)クイズを用意しました。問題を解くことで、作品を観察し自分なりの解釈につながるようにしたのです。子どもたちは、クイズが大好ですね。
 そして5年6年では、三宅が得意だった水彩絵具を薄く使う技法を体験し、三宅作品の鑑賞や自分の制作の参考となるようにしました。子どもたちは、水の量や塗り重ね、筆触など、それぞれ工夫をして、短い時間でしたが、課題とした「水のリボン」を全員が完成させてくれました。「こんなぬり方もあるんだ!と、初めて漢字を知った子のように思いました」と感想文に書いてくれるなど、どの子も新鮮な発見があったようです。
 子どもたちの反応に助けられ、私自身とても楽しい時間をもつことができました。小松島小のみんな、ありがとう。(2006年12月8日の出前授業について 森 芳功)


*三宅克己(みやけ こっき 1874-1954年)
 現在の徳島市生まれ。日本近代を代表する水彩画家の一人。透明水彩を使った繊細な表現を追求するとともに、水彩画にかんする多くの著作を残しました。当館では、画業の流れが分かるコレクションづくりに努力しています。
posted by education at 18:44 | 授業レポート