はじめに

明治から現代まで、日本画家たちは、どのように人を表してきたのでしょうか? 美しい女性像や歴史的な人物、自然のなかで暮らす人、母と子、家族たち。この一世紀あまりの間に、伝統的なもののよさと新しさとが織りなされ、多彩な表現が生み出されてきました。

画家たちは、あこがれの気持ちを表し、失われた者への想いを込め、自身や社会を見つめることで、一枚の作品に、理想や愛情、生と死のテーマなどを、さまざまに宿してきたのです。見る人の側から考えるなら、人々は、暮らしのなかにある喜びや人生の悩みとも重ねるようにして、作品を楽しみ、味わってきたところがあるのかも知れません。

本展では、時代の流れを大づかみでたどるとともに、今と昔を結ぶいくつかの視点から人間表現をご覧いただけたらと思っています。







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