ようこそ、一原ワールドへ!

版によるもう一つの世界

一原有徳の世界へようこそ。

一原有徳は、珍しいモノタイプ版画や、アルミ、トタンなど様々な材質の表情を引き出す実験的な金属凹版の表現により、どこにもない光景を描き続けた現代版画の異才です。本展では当館の所蔵資料全180点を一堂に紹介し、制作の全体像にせまるとともに、コレクションの質を問い直す機会にできればと考えます。未知の映像を追い求めた作家のまなざしを、私たちも追いかけながら、版によるもう一つの世界=ワンダ-ランドを探検していただけたらと思います。

一原有徳 いちはら ありのり

1910年徳島県那賀郡(現・阿南市)に生まれる。2010年没する。幼い頃に北海道へ移住。小樽地方貯金局に勤務しながら、1952年に油彩画を始めた。1958年の全道展、国画会展に1回切りの転写による「モノタイプ版画」を出品。1960年の日本版画協会展や朝日選抜秀作展、海外を巡回した現代日本版画展で注目を集める。モノタイプのほか、金属を様々な道具や薬品で加工する実験的な凹版の表現でも高く評価される。抽象に徹し、主題性やイメージを排しながら、様々な材質感や空間を連想させて止まない独特の作風を貫いた。1998年、当館と北海道立近代美術館の共同企画による特別展「一原有徳・版の世界」を開催。