大型化

版画の特性を問う

大型化 版画の特性を問う

やがて作家は、集積の手法を利用して大作版画を提案します。5メートル、10メートルを超える巨大な画面を細部の集積だけで構築していく表現は、従来の版画のサイズ感をくつがえすとともに、環境的な表現を開拓しました。それは展示手法の一つであるとも言えますが、技法の特性にともすればとらわれがちな版画という分野の既成概念をぶちこわす迫力を十分にはらんでいました。有徳は常に版画領域の傍流に位置しながら本質を問うことから逃げない実験精神を発揮し続け、独特のポジションで存在感を放ちました。