森芳功写真
森 芳功徳島県立近代美術館企画交流室長
Yoshinori Mori

こんにちは。私は今年初めてチャレンジとくしま芸術祭の審査員となりました。審査を通じて作品とじっくりと向き合うことができ、参加したお一人お一人、グループ一組一組のなかにそれぞれのチャレンジがあるということを改めて感じました。私の方からは個人的な感想になるのですが、受賞作以外の作品について若干触れさせて頂きたいと思います。

会場の入り口から述べると、まず 神田 澄 さん。破材を使って船の模型を作られている方です。作品を見て評価する審査の点数とは関わらないのですが、ご本人が毎日会場に出てこられて、船に書いたメッセージを来館者の方に熱心に語っておられるんですね。その姿が非常に印象的でした。

「布細工倶楽部ぽっかぽか」さんからは、グループとしてみんなで良いものを創ろうとする気持ちが伝わってきました。

それから タニザキ ヒロエ さん。昨年度準グランプリの方なんですけど、ますます研鑽を積まれているなと感じました。

横畠寛さん、横畠美千恵 さん。流木を使って大作を作ろうという想いと意欲が伝わりました。

山橋 大二郎 さん。この方は繊細な方なのかなと感じました。物語性のあるインスタレーションです。

sumitomo さん。麻の繊維からつくる糸の美しさを感じました。

「和紙ちぎり絵益井昭子のグループ」のみなさん。平均年齢70歳ということで、パンフレットに「老人力」とありますけれど、壁面にたくさん絵が詰まったところからパワーをもらいました。

辻 悠花 さんのイラストレーション。パンフレットに「言葉にするのが苦手です」と書いてあったところに惹かれました。展示の仕方も寡黙なんですけれども、表現したいという気持ちをこれからも大事にしてほしいなと思いました。

昨年グランプリの 尾田 稔子 さんは、「みんぐるアート」と名付けて多くの人と一緒に絵を描き、その楽しみを共有する活動の成果を発表してくれました。新しく試みようとする情熱。これも本当にチャレンジだなと思いました。

最後に、 大西 葵 さん。かわいい丸い形の立体が壁に並べられた色彩が美しく、照明で浮き上がっているかのように見えて、印象に残りました。

少ししか触れられませんでしたが、会場でたくさんのチャレンジを感じることができました。皆さん、これからもチャレンジを続けていってもらえたらなと思います。

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